
神奈川県小田原市板橋にある小田急箱根鉄道線(箱根登山電車)の駅である箱根板橋から徒歩約10分の閑静な住宅街にミントカラーの建物がある。元々は製麺所だったというレトロな建物。Nordisk Lysはデンマーク語で’北欧の明かり’という意味である。

北欧の照明専門店「Nordisk Lys」で、2025年3月20日〜23日の4日間、Shukuko Quiltさんの個展が開催されると聞き、妻とともに東海道線と箱根登山鉄道に揺られ小田原へ向かった。もちろん片手には愛機GH6。iPhoneでGoogleマップを見ながら住宅地を歩き、目的地らしき建物の前で「本当にここで合っているのか」と立ち止まっていると、母屋から出てきた女性(おそらく店長さん)が「キルト展はこちらですよ」と優しく声をかけてくれた。店内に入ると、デンマークから仕入れたというおしゃれな照明器具がずらりと並び、洗練された空間が広がっていた。

店内の奥には「乾燥室」と呼ばれる部屋があり、そこでShukuko Quiltさんの作品が展示販売されていた。温かみのある照明に照らされた作品は圧巻で、思わずカメラを構えずにはいられなかった。ギャラリーには作家の山本淑子さんとご主人、さらに淑子さんの師匠もいらしていた。緊張しながらカメラを構える僕に、淑子さんは笑顔で「写真、たくさん撮っていってくださいね」と声をかけてくれた。とはいえ、僕の妻と淑子さんは学生時代からの親友で、僕自身も彼女とは面識がある。それでも、こういう場ではやはり緊張してしまうものだ。

モダンキルトの歴史
モダンキルトの歴史について紹介しよう。キルトは古くからあり、ヨーロッパの寒冷地で防寒のために布地に綿を挟んだ「ヨーロピアンキルト」が始まりとされている。モダンキルトの歴史は19世紀から20世紀初頭のアメリカにさかのぼる。この時期、伝統的なパターンのキルトが広く作られ、20世紀に入るとバウハウスやアール・デコといったデザイン運動の影響で、幾何学的でシンプルなデザインが登場した。また、シンプルながら大胆なカラーブロッキングが特徴の「アーミッシュ・キルト」も作られ、これが後のモダンキルトに大きな影響を与えている。

Shukuko Quiltとは
2013年に1冊の雑誌をきっかけにキルト制作を始め、2015年からアメリカのキルト作家Nancy Crow氏のワークショップに参加し、モダンキルトの技術を磨く。本や染め仲間の影響を受けながら独学で草木染めを始め、現在は無農薬・無肥料で草木を栽培。これまでに藍、マリーゴールド、ウコン、紅花などを育ててきた。自然豊かな小田原を拠点に、自然と調和した心地よい暮らしを提案しながら、草木染めのモダンキルトや生活雑貨を制作。実店舗はないが、オンラインストアで販売を行っている。

手作りの良さ
近年、ファストファッションが流行し、手頃な価格で防寒性や接触冷感など機能性に優れた衣服が増えている。実際、僕もよくユニクロに足を運ぶ。しかし、時々街で自分と同じ服を着ている人を見かけると、その服への愛着が少し薄れる気がする。飲食店でも同じようなことを感じる。人口の多いエリアを除けば、昔ながらの手作りの定食屋が減り、代わりにチェーン店やコンビニが増えている。本物の職人が減ってきているのではないか、そんな気がする。だからこそ、今回Shukuko Quiltさんの個展を訪れて改めて思った。「手作りって、やっぱりいいな」と。作品からは作家の魂が伝わってきて、温かさや丁寧さ、そして力強さや安心感を感じるのだ。

細かな演出が作品を際立たせる
ギャラリー内で写真を撮りながら感じたのは、「脇役」の存在がとても良い働きをしているということだ。例えば、左の写真にはオクラとヘチマのコラボレーション、右にはお榊、もう一枚はおそらく稲の「はさ掛け」が飾られている。これらが空間に神聖な雰囲気をもたらし、作品の魅力を一層引き立てている。また、自分の部屋にキルトを飾ったときのイメージも自然と湧いてくるように感じた。



最後に
Shukuko Quiltさんの個展は、箱根板橋の「Nordisk Lys」にて2025年3月23日まで開催中です。もしこのブログを読んでいて、週末の予定がまだ決まっていない方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?作品を楽しんだ後は、戦国時代の歴史を感じながら板橋の街を散策するのも面白いかもしれません。今回の個展に行けない方も、Shukuko Quiltさんの公式HPをチェックしてみてくださいね!それでは、またお会いしましょう。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
