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大型アップデートを果たした「Ableton Live12 」の進化がすごい!

はじめに

2023年11月中旬、何気なくスマホでニュースを見ていると、ある記事が僕の目に飛び込んだ。それはAbletonがバージョンアップで12を発表したという内容だった。正直「えっこのタイミングで!?」とその事実に驚き、嬉しさと興奮を隠しきれなかった。Abletonは同年の夏にCPU、SSD、メモリ、Linux内蔵、スタンドアロンで動作するPush3を発表/発売したばかりだったし、前回のLIve10からLive11へのアップデートは2021年の2月だったので、ここ最近のAbletonのアップデート事情からすると、今年はないだろうと高を括っていた僕にとって予期せぬ嬉しい知らせだった。その時は出先だったので、その場でさらっと内容を見たのだが、さっらっとで済むような進化内容ではなかった。僕はますます興奮して雄叫びを上げそうになってしまった。実際小さい声で「うぉ!」とは言った。という訳で今回はAbleton Live12の進化について紹介していこうと思う。※画像は主にAbleton公式より

アレンジメントビューでミキサーを表示

Ableton Liveの大きな特徴は、セッションビューとアレンジメントビューという二種類のビューモードがあることだ。セッションビューは縦と横の管理で縦に並ぶ列をトラック、横に並ぶ行をシーンと呼び、セッションビューはリアルタイム演奏にも向いたビューといえるだろう。対してアレンジメントビューは多くのDAWと同様のレイアウトで線形の構造、時間軸に沿ったトラックの配置が行われ、通常の曲のアレンジや編集作業に適したビューともいえる。しかしAbleton Live11までのアレンジメントビューにはミキサーの表示がなく、ミキシングやマスタリングの際、ミキサーを触る時にセッションビューに一旦切り替えるという作業をしなければならなかったのだが、12からはアレンジメントビューでもミキサーが表示されるようになった。それと細かな変更点ではあるがミキサーの三角表示が大きくなっていて操作性の向上も期待でき、ミキサーは必要に応じて表示/非表示を切り替えることができるので視認性や作業効率はアップすることだろう。

同時表示で作業効率アップ

アレンジメントビューにミキサーを表示できるようになったことに加え、更に作業効率がアップする「必要なものをすべて同時に表示」。このアップもユーザーにとっては嬉しいポイントで、都度のマウス操作による手や腕の疲労の軽減につながるので非常にありがたいと筆者は思う。クリップエディターやデバイスパラメータを同時に表示することが可能で、トラックの内容が一目瞭然となったわけだ。見た目も格好良くなり、よりLIveに入り込んで集中した作業ができそうである。

スケール機能の向上

個人的に今回のアップデートで一番嬉しいなと思ったのが、キー/スケール機能の向上だった。上記に公式の動画を貼ってあるので観ていただければ納得すると思うのだが、簡単にいうと、Chord音があったとして設定スケールをD Minorにしているとしよう。Bass音もそれに合わせたいって時に、Clipsの中にあるFit to Scaleを押すと設定スケール構成音にピタッと合ってくれるという頼もしい機能が追加されているようだ。他にも、選択したノートに対して特定の音程で和音を加えることができるAdd Intevalが追加されている。任意のラインに対して一瞬でハーモニーを追加することができるので、こちらも作業効率アップが望めるだろう。

MIDI編集機能の大進化

MIDI変形ツール

今回のアップデートで最も注目されているのがMIDIエディタの大幅な改善といえるだろう。前述で触れたFit to Scale Add Intervalも大きなMIDIエディタの進化だが、他にもノートの発音タイミングをランダムにずらし、よりリアリティな表現をしてくれるHumanaizeだったり、フレーズの長さ伸縮調整に直感性と自由さを強調したStrechにも注目したい。また、ベロシティには既存のRandomaize以外に傾斜をつけることが可能となっているようだ。MIDI変形ツールは選択した入力済みのノートを変化させ、演奏表現をより多く実現することが可能となった。使用方法は入力したMidiノートを選択して、変形したいタイプ(ArpeggiateやConnectやOrnament、Recombineなど数種類)を選択してTransformボタンを適用するとその内容が入力したノートに反映される。これらは実際に音を出して試してみたいので発売が待ち遠しい。(ベータ版は申込みが通れば2023年11月末現在でも使用可能らしい)

MIDI生成ツール

上記画像、左赤枠がMIDI変形ツールボタン、右青枠がMIDI生成ツールボタンとなっているようだが、MIDI生成ツールとはユーザーがMIDIノートを打ち込むことなく様々なフレーズを生成してくれるツールだ。このツールは作業の時短だったりアイディアが出てこないときなどに大いに活躍してくれるのかなと思う。また 曲作りの初心者の方にとっても味方になってくれそうな心強いツールとなりそうだ。RhythmSeedShapeStacksEuclidean(Suiteのみ)といったパターンが用意されている。

その他のアップデートされたデバイスや付属コンテンツ

Pack

  • 【Lost and Found】(新パック): Suiteのみに付属
  • 【Surround Panner】(新パック): Suiteのみに付属
  • 【Performance Pack】(新パック): Suiteのみに付属
  • 【Singularities】(新パック): Suiteのみに付属
  • 【Beat Tools by Ableton】: 全エディションに付属
  • 【Electric Keyboards】: Standard以上に付属
  • 【Synth Essentials】: Standard以上に付属
  • 【Session Drums Studio】: Standard以上に付属
  • 【Vinyl Classics】: Standard以上に付属
  • 【Build and Drop】: 全エディションに付属
  • 【Orchestral Strings】: Standard以上に付属
  • 【Session Drums Club】: Standard以上に付属
  • 【Guitar and Bass】: Standard以上に付属
  • 【Loop Masters Mixtape】: Standard以上に付属

モジュレーション

  • 【Envelope Follower】(アップデート): Standard以上に付属
  • 【Envelope MIDI】(アップデート): 全エディションに付属(Intro以下は機能制限あり)
  • 【Expression Control】(アップデート): Intro以上に付属
  • 【LFO】(アップデート): 全エディションに付属(Intro以下は機能制限あり)
  • 【Shaper】(アップデート): 全エディションに付属(Intro以下は機能制限あり)
  • 【Shaper MIDI】(アップデート): Standard以上に付属

オーディオエフェクト

  • 【Corpus】: Standard以上に付属
  • 【Glue Compressor】: Standard以上に付属

MIDIエフェクト

  • 【Scale】(アップデート): 全エディションに付属
  • 【Note Length】(アップデート): 全エディションに付属
  • 【Random】(アップデート): 全エディションに付属
  • 【Chord】(アップデート): 全エディションに付属
  • 【Arpeggiator】(アップデート): 全エディションに付属
  • 【CC Control】(新デバイス): Standard以上に付属

インストゥルメント

  • 【Operator】(アップデート): Suiteのみに付属
  • 【Analog】: Live Standard以上に付属
  • 【Collision】: Live Standard以上に付属
  • 【Electeric】: Live Standard以上に付属
  • 【Tension】: Live Standard以上に付属

最後に

さて如何だったでしょうか。多くのLiveユーザーにとっては神アップデートとなっていること間違いない内容ではないかと思います。僕自身も早く12を使って音楽制作を行いたいです。年明けの発売まであえてベータ版は使用せずに、待ちわびようと考えています。僕はこれからDAWを購入しようと考えている方や、これから音楽を始めようとする方に自身を持ってAbleton Liveをおすすめします。下記にAbleton Live11とAbleton Push2を使って作った曲を貼っておきますぜひぜひご視聴ください。最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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Bashihide

ビートメイカー・動画クリエーター。何かとお役に立ちそうな記事を展開していきます。最近はバイクにハマっています。

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